ニュース一覧 > ニュース > 燕の巣が生まれる場所へ。マレーシア・バードハウスを訪ねて。
2026年10月01日 03:59 | ニュース
自分たちが届けるものだからこそ、その始まりを、自分たちの目で確かめたい。
2026年9月、BANSHOは燕の巣が生まれるマレーシア・ジョホール州を訪れました。
向かったのは、ジョホールバルから東へ進んだ海沿いのデサルにあるバードハウス。そして、燕の巣由来原料の研究・製造に取り組むGLYKEN社の拠点です。
私たちが普段目にする燕の巣は、原料や商品として加工され、袋や箱に入った状態です。
けれど、その上流には、燕が空を飛び、暮らし、巣をつくり、雛を育てる環境があります。
BANSHOが今回、改めて確かめたかったのは、その出発点でした。
ジョホールバルから車でデサルへ向かうと、少しずつ景色が変わっていきます。
建物や車が減り、窓の外に広がる緑が増えていく。
今回訪れたバードハウスは、周囲に自然が残る場所にありました。
建物の高い位置に設けられた小さな開口部から、アナツバメが自由に出入りしています。
ここで暮らすのは、人の手で飼育された鳥ではありません。
自然の中を自由に飛び、餌を探し、自らこの場所を選んで巣をつくる、野生のアナツバメです。
バードハウスは燕を閉じ込める施設ではなく、燕が外敵から身を守り、安心して巣作りと子育てをするための環境として整えられています。
燕が安心して巣作りを続けられるよう、バードハウスの周辺にもさまざまな工夫が施されています。
周囲の木々は、外敵が身を隠しにくいよう低く管理されています。
建物の周りには溝を設け、蛇などが侵入しにくい環境をつくっています。
さらに、燕の餌となる虫が集まりやすいよう、周辺には果実の木も植えられています。
燕の巣を得ることだけを考えるのではなく、燕がこの場所を選び、安心して戻ってこられる環境を維持すること。
燕と人が長く共にあり続けるためには、その日だけではなく、次の巣作り、その先の世代まで見据えた管理が欠かせません。
今回訪れた施設には、約50棟のバードハウスがあります。
そのうち、人が見学できるのはショーケースとして設けられた1棟のみです。
その他のバードハウスには、原則として管理スタッフ以外は立ち入ることができません。
スタッフが建物内に入る時間も厳密に管理し、人の出入りによって燕に過度なストレスを与えないよう配慮されています。
原料が生まれる場所を公開することと、そこで暮らす燕の環境を守ること。
その両方を大切にするため、見学できる範囲を限定しています。
私たちも、現地のルールと管理スタッフの指示に従い、燕の暮らしを妨げないよう注意しながら中へ入りました。
外から見ただけでは、バードハウスの中がどのようになっているのかは分かりません。
扉を開けると、建物の中は薄暗く、その中をたくさんのアナツバメが飛び交っていました。
壁面には、燕が実際につくった巣が並んでいます。
よく見ると、卵が入っている巣もあります。
商品として加工された燕の巣しか知らなければ、それが一羽の鳥によってつくられたものだと、頭では理解していても、なかなか実感することはできません。
けれど、ここには目の前を飛ぶ燕がいて、巣があり、その中には新しい生命があります。
同行した皆さまからも、驚きの声が上がりました。
燕の巣が自然から生まれるものであり、一羽一羽の燕の営みの中で育まれていることを、知識ではなく、その場の実感として受け取る時間になりました。
燕の巣は、いつでも採取してよいものではありません。
卵や雛がいる巣には、決して手をつけません。
現地の管理スタッフは、先端に鏡が付いた特殊な棒を使い、巣の中を一つひとつ確認します。
雛が無事に巣立ち、子育てを終えた巣であることを確かめてから、初めて採取します。
燕の巣は、アナツバメが卵を産み、雛を育てるためにつくるものです。だからこそ、巣を採取するタイミングは、燕と人が共にあり続けるうえで、とても大切です。
今回訪れたバードハウスでは、卵や雛の有無だけで判断するのではなく、雛が巣立ち、その時点で使用されていないことを一つずつ確認したうえで採取しています。
燕の子育てを妨げず、命を最優先に考えること。
自然から恵みを受け取るからこそ、その背景にある生命の営みを尊重すること。
それが、このバードハウスで守られている採取の考え方です。
今回の訪問では、現地スタッフの管理のもと、採取してよい状態だと確認された巣を、実際に自分たちの手で採る体験もさせていただきました。
一つの巣を手にしたとき、その軽さと繊細さの向こうに、燕がかけた時間と、生命の営みがあることを感じます。
完成した商品として出会うだけでは分からない、素材の始まりに触れた瞬間でした。
マレーシアを移動していると、市街地に近い場所でも、バードハウスと思われる建物を見かけます。
けれど、同じ「燕の巣」と呼ばれるものであっても、どこで、どのような環境のもとで採取されたのかは同じではありません。
燕が暮らす周辺環境。
バードハウスへの人の出入り。
巣を採取するタイミング。
採取後の洗浄や加工の方法。
完成した燕の巣や商品だけを見ても、その背景にあるすべてを知ることはできません。
だからこそBANSHOは、原料そのものだけではなく、どのような場所で生まれ、どのような人々によって管理されているのかを大切にしています。
バードハウスを訪れた後は、ジョホールバルに戻り、GLYKEN社の拠点を訪問しました。
そこでは、燕の巣がどのような素材なのか、現在どのような研究が進められているのかについて、オーナーのMr. Ericから直接説明を受けました。
さらに、燕の巣が原料へと加工される製造現場も見学しました。
どの工程で何を行うのか。
なぜ、その温度や時間で処理するのか。
どのように品質を管理し、次の工程へ進めているのか。
一つひとつの工程について、実際の設備を見ながら確認しました。
GLYKEN社の工場はGMPを取得し、定められた基準のもとで製造と品質管理を行っています。
ただし、認証や設備があることだけで、すべてが分かるわけではありません。
完成した原料の外観からは見えない工程を、現地で直接見て、質問し、確かめること。
それが、商品をお届けする私たちの責任だと考えています。
燕の巣は、1000年以上にわたり受け継がれてきた伝統素材です。
その一方で、まだ科学的に明らかになっていないことも数多く残されています。
BANSHOは、「昔から良いとされてきた」という理由だけで、その価値を語りたいとは考えていません。
どのような成分が含まれているのか。
身体の中でどのように働く可能性があるのか。
どのような加工や技術によって、その価値を現代の暮らしへ届けられるのか。
産学連携による研究を重ね、分かっていることと、まだ分かっていないことの両方に向き合う。
伝統を尊重しながら、科学の視点で一つずつ確かめていくことを大切にしています。
今回が、この1年で4回目となるバードハウス訪問でした。
一度見れば、十分なのではないかと思われるかもしれません。
けれど、現場はいつも同じではありません。
季節や天候によって周囲の環境は変わり、燕の様子も変化します。研究や製造の現場でも、新しい取り組みや改善が積み重ねられています。
そして何より、現地へ足を運ぶたびに、初めて見えることや、新しく生まれる疑問があります。
調べれば、多くの情報を得られる時代です。
それでも、実際にその場所へ行き、自分の目で見て、関わる人の話を聞かなければ分からないことがあります。
原料が生まれる場所から、お客様の手に届くその瞬間まで。
その間にある背景を知り、確かめ、責任を持って伝えるために、私たちはこれからも現地へ足を運びます。
燕の巣は、工場で一からつくることのできる素材ではありません。
燕が空を飛び、安心できる場所を選び、時間をかけてつくるものです。
そこには、燕の暮らしを守る人々がいて、採取の時期を見極める人がいて、原料としての可能性を研究する人がいます。
そして、その先に、商品を手に取ってくださるお客様がいます。
BANSHOは、そのすべてのつながりを大切にしながら、自然から受け取った価値を、毎日の暮らしへ届けていきたいと考えています。
自分たちが届けるものだからこそ、その始まりを、自分たちの目で確かめる。
これからも一つひとつの背景に誠実に向き合いながら、ものづくりを続けてまいります。
燕の巣を、もっと身近に。もっと日常に。
One Light, One Bond.
BANSHO